Psychedelics

LSDとは?

LSD(Lysergic acid diethylamide/リゼルグ酸ジエチルアミド)は、幻覚剤及びサイケデリックスに分類される代表的な半合成のドラッグです。略称の「LSD」はドイツ語の「Lysergsäurediethylamid」に由来しています。

幻覚剤とは、脳神経系に作用して幻覚を催す向精神薬のことを言います。英語では、サイケデリックス(Psychedelics) 、Hallucinogenと言います。

◆LSDの歴史

●LSDの合成

▲Albert Hoffman(アルバート・ホフマン)

LSDは1938年にスイスの化学者アルバート・ホフマンリゼルグ酸から合成したものです。リゼルグ酸とは、、エルゴタミン等の加水分解から得られる化学物質です。


LSDは一般にジエチルアミンをリゼルグ酸(若しくはリゼルギン酸)の活性型と反応させることにより合成されます。リゼルグ酸は、小麦やライ麦に感染する菌類の一種である麦角菌に含まれるアルカロイド(麦角アルカロイド)、エルゴタミンなどのリゼルグアミドをアルカリ加水分解することで作られますが、アサガオの種子から抽出した LSA(リゼルグ酸アミド)からも合成が可能です。

▲麦に寄生している黒い角状のものが麦角であり、この種の菌類を総称して麦角菌と呼ぶ

ホフマンは新しい鎮痛剤を開発するためにリゼルグ酸からリゼルグ酸アミド類を合成しましたが、25番目に合成されたものがLSDとなり、それが理由でLSD-25と呼ばれるようになりました。

▲LSD-25/ 商品名はDelysid(デリシッド)と名付けられた

1943年、ホフマンは実験中に意図せずをLSDを指先(皮膚)から摂取し、LSDの人体における効果を発見しました。その時のLSDで得た効果をホフマンは以下の様に記録しています。


「僅かな目眩があり、落ち着きがなくなった。横になると、想像力が非常に刺激され、不快ではない酩酊状態に陥った。夢を見ているような状態で、目を閉じると幻想的な絵が幻覚として現れ、万華鏡のような模様も見えた」

その後、1943年4月19日にホフマンはLSD250μgを意図的に摂取しています。世界で最初にLSDが意図的に使用された4月19日は「自転車の日」として、一部のLSD使用者の間で祝われるようになりました。

●シロシン/シロシビン

アルバート・ホフマンは、マジックマッシュルームからシロシビンシロシンを発見し命名をした実績も持っており、ホフマンは自分自身の身体でLSDやマジックマッシュルームの実験も行っていた様です。ホフマンはノーベル賞選考委員の1人でもあります。マジックマッシュルーム及びシロシン/シロシビンに関して興味のある方は、以下の記事をお読み下さい。

●LSDの流通

LSDは1950年代から1960年代初期に精神医学分野で注目を集め、ホフマンの所属先であるサンド社はLSDの市場利用を見出そうと商標名Delysid(デリシッド)で研究者達に配布しました。

1950年代から、CIA(アメリカ中央情報局)はプロジェクト「MK-Ultra」というコードネームでLSDなどに関する研究プログラムを開始しました。CIAは、24万ドルで全世界のLSDを購入し、CIAのフロント組織を通じてアメリカの病院、診療所、刑務所、研究所にLSDを送りました。実験には、CIA職員、軍人、医師、その他の政府機関職員、売春婦、精神病患者、一般市民の反応を調べるために、通常は被験者が知らないうちに彼らにLSDを投与しました。

「MK-Ultra」は、CIAが企画・実施した違法な人体実験プログラムで、洗脳や心理的拷問によって個人の能力を弱め自白を迫る尋問の手順や薬物の特定を目的としていました。彼らは、LSDが冷戦における心理的な武器として使えると考えたのです。しかしこのプロジェクトは 1953年から始まり1964年と1967年に範囲を縮小し、1973年に停止されました。MK-Ultraは、被験者の精神状態や脳機能を操作するために、他の拷問に加え、大量の精神活性物質(特にLSD)やその他の化学物質の秘密投与、電気ショック、催眠、感覚遮断、隔離、言葉や性的虐待など多くの方法を用いていました。このプロジェクトは、1975年の米国議会ロックフェラー委員会の報告書で明らかにされました。

●LSDとヒッピーブーム

▲1960年代、アメリカのヒッピー達

アメリカでは、LSDは1960年代初頭には薬局でも販売され、一般人の間にも流通し始めました。LSDはカウンターカルチャー(対抗文化、サブカルチャー)の中心となりました。1960年代初頭、LSDや他の幻覚剤の使用は多くの著名人などにより提唱され、新世代の若者の考え方に深い影響を与えました。その様な運動をヒッピー・ムーブメントと呼び、その流行のことをヒッピー・ブームと言います。

ヒッピーとは「既成の社会体制と価値観からの離脱を目指す運動を行なった人々」のことを言います。また、現在でも、その様なライフスタイルを送る者達をヒッピー若しくはネオ・ヒッピーと呼びます。

ヒッピーは基本的に自然・音楽・平和などを好む傾向にあります。

▲現代版ヒッピー(ネオ・ヒッピー)

●LSDの規制

LSDが蔓延したことでその強力な幻覚作用によって事故や事件が多く発生し、怪我人が死人が増えました。

また、ヒッピーや反戦争、反政府主義者等のLSD使用が報道されると、LSDはアメリカの価値観やベトナム戦争への文化的脅威とみなされ、その有害性を誇張する報道が盛んにされるようになり、LSDを排除しようとする世論が高まりました。

そのため、サンド研究所は1966年4月に「1943年に開発、発売したLSD-25は現代の精神医学や精神薬理学の研究において特別な意味を有し、世界中の病院、研究所に調査依頼をすることで可能な限りの厳格な注意規定を課すことが出来たが、近年の若者達の濫用の増加やLSDを興味を持つ層に対しての無責任な生産、密売はこの限りでない。さらには1963年以降、LSDに関してのサンド社の特許権は失効した。薬剤に対する正しい研究への認識が深められ、誤った濫用を阻止するためにサンド社が当然行わなければならない事柄として、LSD-25のすべての販売を中止する」というコメントを出し、LSDの販売中止と回収を開始しました(サンド社のLSDの特許権が失効した事から、チェコのスポファ社がLSDの製造を開始しました)

カリフォルニア州は1966年10月6日に全米で最初にLSDを禁止しました。そして1968年10月24日、アメリカではLSDケジュールI物質に指定されました。その後、1971年に国連によってスケジュール1の規制物質に指定され、現在では医療用途としても認められていません。

◆LSDの形態

▲現在では代表的な紙タイプ(ブロッターペーパー)のLSD

純正のLSDは透明または白色で臭いはなく、結晶の形で製造されますが、その後賦形剤と混合されるか、再溶解されて別の形態として加工されます。一昔前では、LSDの溶液は角砂糖に混ぜて販売されていましたが、実用性を考慮し、錠剤に変更されることになりました。1968年に登場したオレンジ色の錠剤「オレンジ・サンシャイン」は、LSDの所持が違法となった後、初めて一般に販売されたLSDの形です。

▲1968年に販売されていた「オレンジサンシャイン」という名のLSD

LSDの錠剤の形には他にも様々なものがあり、星、宇宙船、ハート型などがあります。

錠剤の次は「絵柄を印刷したブロッターペーパー(あぶらとり紙)をLSD、水、アルコール溶液に浸して作るものが登場しました。これが現在最も消費者の手に渡る中で代表的である事から、LSDというと小さな正方形の絵柄が印刷された紙片を連想する人が多いかと思います。ちなみに絵柄には様々なものがあります。この事から、日本ではLSDを隠語として『紙』と呼ぶ事が多くなっています。一方、海外では基本的にAcid(アシッド)という隠語が使われています。

▲ゼラチン状のLSD  通称”Windowpane” (AKA “Clearlight”)

ブロッターペーパーLSDとほぼ同時に「ウィンドウペーン」(別名「クリアライト」)が登場しました。これは薄いゼラチン状の板にLSDが含まれています。

それ以外にも、粉末や結晶、カプセルなど他の形態でLSDは流通しています。

◆LSDの摂取方法

現在最も代表的なブロッターペーパータイプのLSDの場合、紙を舌下にてそれが溶けるまで保持します。咀嚼したり、そのまま飲み込んでも効果はあります。吸引や静脈注射による摂取方法もありますが、あまり一般的では無いので割愛します。

◆LSDの用量

トリップ目的であれば、50μg~250μgの摂取が一般的です。初心者であればそれ以上の使用はパニックを起こす可能性が高いので控えるべきかと思います。

◆LSDの使用環境

安全で安心できる環境での使用がお勧めです。例えば、自宅のベッドの上や自然の中のキャンプ場などが良いでしょう。特に初めての場合は、LSDの経験がある信頼できる友人や恋人と使用しましょう。また、LSDは12時間以上効果が続く場合もあるので、それを考慮する必要もあります。

興奮にはロラゼパムやジアゼパムなどのベンゾジアゼピン系薬剤で安全に対処することができるので、用意しておくと良いでしょう。ハロペリドールなどの神経弛緩薬は、副作用があるため避けましょう。

◆緊急時の応急処置

呼吸補助や気管内挿管などの支持療法を行う必要がある場合があります。高血圧、頻脈、および高体温は、対症療法的に治療しましょう。

◆LSDの効果は?

●身体面

LSDは視覚、聴覚に対して幻覚を引き起こします。それに加え瞳孔散大、血圧上昇、体温上昇、食欲減退、発汗、覚醒、吐き気、震え、口の渇きなどがあります。LSDに対する身体的反応は非常に多様で非特異的であり、そのうちのいくつかは心理的効果による二次的なものである可能性があります。

●精神面

LSDなどの幻覚剤は、脳を「高次の意識状態」にすると、英サセックス大学とインペリアル・カレッジ・ロンドンの共同研究により明らかになりました。LSDなどの幻覚剤は人間の脳に作用し、神経活動を多様化させる、若しくは脳を子どものころのような状態に戻す様です。

▲脳のネットワーク間の繋がりを視覚化したもの。通常の状態(左)に対し、右がシロシビンを投与された状態。


また、LSDの代表的な効果と言えるものにトリップがあります。トリップとは物質が精神に作用している状態のことを言います。トリップはLSDがその人の脳とどのように相互作用するかに応じて異なり、それは人それぞれ異なります(その人の過去の経験、思考、ポテンシャルに依存します)

トリップには、感覚的に良いものと悪いものがあります。良いトリップはグッドトリップ、悪いトリップはバッドトリップと言います。

グッドトリップは非常に快楽的であり、多幸感、感謝、不安の軽減、悟りの感覚、宇宙との帰属または相互接続の感覚を伴うと言われています。

一方バッドトリップと呼ばれるものは、恐怖、不安、パニック、パラノイア、不信感、絶望、自殺願望などを催します。 バッドトリップは基本的にその人の気分、過去の経験、その人が置かれている環境、体調などが原因で発生します。バッドトリップは基本的にLSDの効果が切れれば終了しますが、場合によっては効果が切れた後も悪い気分が続くこともあります。

●セットとセッティング

バッドトリップに陥る可能性を下げ、グッドトリップを得る可能性を上げる方法があります。まず、嫌なことがあったり気分が沈んでいる時にLSDを摂取するのは避ける事が大切です。次に、一人ではなく、仲の良い友人や恋人との使用をお勧めします。最後に、使用する環境に注意しましょう。家の中よりは自然の中の方がお勧めです。街中の場合、他人が気になったり事故に注意しなければいけなかったりと、バッドトリップに陥る要素が溢れています。LSDのトリップに集中できる環境での使用が、グッドトリップを得ることに繋がるかと思います。但し個人差はあるので、自分に合った環境を見つけることが大切です。

●医療面

2008年以降、死が近い末期がん患者の不安を緩和するためにLSDを使用する研究が進行中です。
また、2012年のメタアナリシスでは、LSDの単回投与がアルコール依存症におけるアルコール消費量の減少に有効であると結論付けられています。さらに、うつ病群発性頭痛の治療において研究されており、肯定的な予備的結果が得られています。

最近、研究者らはLSDが強力なサイコプラストゲン(迅速かつ持続的な神経可塑性を促進することができる化合物)であり、広範囲な治療的利益を有する可能性があることを発見しました。LSDは、ヒトにおける記憶パフォーマンスを改善することが示されています。

また、LSDは鎮痛剤としても利用できる可能性があるとも言われています。

◆LSDの作用メカニズム

LSDの効果は主に5-HT2A(セロトニン)受容体のアゴニストであることに起因すると考えられています。LSDがこの受容体のアゴニズムによって正確にどのように効果を発揮するのかはまだ完全に分かってはいませんが、対応するグルタミン酸神経伝達の増加やデフォルトモードネットワーク活動の低下が重要な作用メカニズムであると考えられています。LSD5-HT2A受容体に加えて、ドーパミンD1およびD2受容体にも結合するため、シロシビンなどの化合物よりも刺激性が高い傾向があります。

◆LSDの作用時間

LSDを経口摂取してから30〜60分程度で効果が始まります(吸引や静脈内摂取の場合はそれ以下)そして、摂取後3〜4時間でピークに達し、基本的に波はりますが、12時間程度効果が続きます(高用量では20時間続くこともあります)

また、使用者は摂取から数日または数週間にわたって余韻を経験することもある様です。

◆LSDの副作用・有害性

▲各ドラッグにおける死亡者数や関連死、害などを表したグラフ

LSDやその他のドラッグには危険性があります(ドラッグのみならず、基本的にこの世の全てのものには危険性があります)

上のグラフでは各ドラッグの危険性が分かりやすく表示されていますが、LSDは数あるドラッグの中でも非常に安全性が高いことが分かります。LSDはアルコールやタバコ、大麻と比較しても圧倒的に害が小さいと言われています。

2008年の報告書によれば、LSDの過剰摂取による人間の死亡は記録されていないそうですが、LSDによるパニックや精神作用などによって事故や自殺が多発しているので注意は必要です。

また、以下のような副作用が報告されています。

●統合失調症

LSDは精神疾患を悪化させ、統合失調症の早期発症を促進する可能性があります。精神的に病みやすい人や既に統合失調症を患っている方は注意が必要です。

●フラッシュバック

また、薬物が切れた後にLSDの主観的効果の一部のエピソードを経験し、それが幻覚剤の使用後に数日から数ヶ月間持続する事があると報告されています。

●事故・事件

LSDによる心理的障害に起因する事故の結果として、傷害や死亡を引き起こすことがあります。

●中毒性

LSDは非中毒性で乱用の可能性は低いと考えられています。しかし、 頻繁に使用すると急速に耐性ができ、効果を感じるために大量の服用が必要となります。耐性は、使用から2週間後に基準値に戻ると考えられています。

◆LSDの法的地位

向精神薬に関する国際連合条約は、署名した締約国にLSDを禁止するよう求めています。アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、ヨーロッパの大部分など、この条約の締約国であるすべての国ではLSDは違法とされています(ヒトにおけるLSDの医学的・科学的研究は、1971年の国連条約の下で許可されています)

しかし、アメリカのいくつかの州やメキシコなどでは、LSDの非犯罪化が進められている様です。

日本では1970年に麻薬に指定されました。

◆LSD誘導体(アナログ)

▲LSDには様々な誘導体が存在します。

1B-LSD, 1V-LSD, 1cP-LSD, AL-LAD, LSZ, ETH-LAD, 1P-LSDなどが存在します。

日本でも、2022年10月14日の段階では、LSDのアナログである1V-LSDは規制対象外となっております。

合法1V-LSDの販売はこちらで行われており、クーポンコード【GRAYLSD】を使用すれば割引が適応される様です。

https://twitter.com/magemageya?s=20&t=7tkbpt8mxpKLlIOIT-PZgg

◆まとめ

◉LSDは紙タイプが主流(消費者の場合)

◉舌下で摂取し、効果は約30~60分後に現れ、約12時間続く

◉基本的な用量は50~250μgだが、それ以上摂取しても死亡する可能性は低い

◉効果は幻覚、目眩、意識の変化、陶酔感など

◉幻覚、陶酔感による事故やバッドトリップとそれによる自殺に注意

◉精神的に弱い方、統合失調症などを患っている方は注意

◉医療的にも注目されている

◉全世界で違法だが、アメリカの一部の州などでは非犯罪化が進められている

◉誘導体が多く存在する

▼こちらでLSDについて動画で解説もしているので、興味のある方はチェックしてみてください。

https://www.youtube.com/watch?v=J7vhXjYjnbo